花の兄

2001年3月6日
仕事で伺った築25年のお宅
庭の中心の梅の老木が 
見事にびっしりと
桃色の可憐な花々をつけている
ほのかな 梅の香り

晴れて 少しかすんだ青空に
すくすくと どの枝も
ためらい無くのびてゆき
いまだ冷たい風の中
華やいだ暖色の すこしばかりの
春を思わせて

桜より ひとあし早く咲く梅のはな
『花の兄』という雅名があると
数年前 後輩が 詩に書いていたっけ

桜より ずっと密やかな
春をまさぐるような
この咲きかたを
弟妹を見守る少し大人びた兄のまなざしと
重ねた古のひとびとの
研ぎ澄まされた感性

『花の兄』
たなごころから
自分をなくしながら駆けている
私を立ち止まらせて
なお 静かに咲き乱れている


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